『ビッグ・ナッシング』観劇レポート
今回は前情報を何も入れずに観ることにした。海外の作品ということであまり分かるとも思っていなかったが、全てを知ってから観るのも気が引けたからだ。
演者は手作りの影絵を舞台上で動かしていく。観ている時は本当によく分からなかったし、嫌な夢をずっと見ているみたいだった。あまり演者が映されなかったため、ますます「夢」そのものを観ている感覚が強かった。上映という形であったが、この作品は実際に観るのと上映されて観るのとでは相当感じ方が違ったのではないかと思う。何も分からず意味が知りたくてもう一度パンフレットを見返すと目に飛び込んでくるのは「ビッグ・ナッシング」だった。本当になにもないというのが視覚から提示されて感嘆したのを覚えている。すっきりしたような、じゃあなんだったんだというような、なんだか不思議な気持ちでとても面白かった。
「言葉に依存していた」と先述したが、言葉がないというのは国際的である。海外の作品であろうと、まず言葉というものがなければ分からないものはそうそうないだろう。そしてきっと観た人によってどこまでも想像することができる。この作品自体が開かれているのだ。誰にでも公平に与えられた作品なような気がする。