『NIPPON・CHA! CHA! CHA!』
観劇レポート
日本大学芸術学部演劇学科2年
宮木望
 私は今回、初めて野外観劇というものをしました。まず、この作品を観るまで野外で演劇というのは、劇場の外の音やビルなどの風景が気にならないものなのかと思っていました。そして劇場に着くとその心配はより一層深まりました。池袋西口ということもあって、車もたくさん通るし周りのビルの明かりなどもすごく気になるのではないかと思っていました。しかし、始まってみると劇が終わるまで一度も周りの音などが気になることもなく最後まで劇に集中していました。その理由の一つに、劇の間ずっと音が鳴らしていたことが挙げられると考えました。ミュージカルのように歌を歌う場面がたくさんあったり、楽器の生演奏があったりと常に音楽が流れていました。また、劇場外が気にならないという理由にもう一つ考えられることは、舞台転換がスムーズで観ている人を待たせる時間がなかったということです。舞台を広く使い、次のシーンになるころにはすでにスタンバイができていて、暗転して舞台転換をするという場面がありませんでした。だからといってシーンの流れに違和感を感じたり、次のスタンバイをしている役者が気になったりということもありませんでした。(これは座る位置なども関係してくるのかもしれませんが、私が座った場所では一度も気になることはなかったです。)
 また、私は照明コースで舞台照明を学んでいるため、照明についてもいくつか感じたことがあります。一番強く感じたことは、想像していた以上に灯体の数が多くなかったということです。そこまで舞台が広いわけではありませんが、野外ということもあり、多めに仕込んであるのではないかと思っていましたが、照明の仕込みは複雑なものではなかったように思います。だからといって、暗くて顔が見えないとか、明かりがずっと同じようなものばかりで観ていてつまらないとかということは全くなく、むしろこれだけの灯体でこんなにも多くの種類の明かりを作ることができるのだと非常に勉強になりました。
 また、この作品を観て、町の人たちは悪気なく全力で盛り上げてカズオを応援していたけれど、それがかえってカズオを追い込んでいたという部分がすごく考えさせられる点であるなと思いました。最近、芸能の世界でも悲しいニュースが続いていることもあり、私たちが意図もせず誰かを傷つけていることは絶対にないとは言い切れないし、だからこそ一つ一つ自分の発した言葉に責任を持たないといけないと改めて感じさせられた気がします。