東京芸術祭2019 閉幕に寄せて

11月23日、公募で集った豊島区民とコンドルズが共演する、コンドルズ×豊島区民『Bridges to Babylon』で東京芸術祭は幕を閉じました。

キレのあるダンスに、肩の力の抜けたキュートでユーモアあふれるコント……コンドルズならではのエンターテインメントに、180人もの区民ダンサーが出演する群舞が加わった公演は、豊島区の東アジア文化都市舞台芸術部門スペシャル事業、そして会場となった東京建物Brillia HALLのこけら落としシリーズの一環でもあり、まさに「祝祭」の華やぎを感じさせるものでした。特に、区民チームとコンドルズ、総勢200名近くの出演者たちが揃いの学ラン(区民は学ランTシャツ)姿でなんども手を振るカーテンコールは壮観でありつつ、市民参加公演らしいリラックスした雰囲気を漂わせていました。

9月21日にIKEBUKURO薪能『能楽QUEST』で幕を開けた東京芸術祭は、約2カ月にわたり、総計26の事業・演目とそれに関連するイベントを行いました。その内容は、古典芸能に根ざすものから、ダンス、現代演劇、アートプロジェクト、映像まで実に多岐にわたります。また、そのプログラムには、異なる地域で生まれた6つの作品が賞を競い合った「ワールドコンペティション」などの<世界のいまを反映した演劇公演>、『移動祝祭商店街』や『Bridges to Babylon』のような<足元にある地域や人々に着目したプロジェクト>、「APAF(アジア舞台芸術人材育成部門)」を始めとする<アジア関連の企画>など、(重なりながらも)異なる焦点距離を持つ作品群=スケールが含まれていました。東京からアジア、世界へ、あるいは世界からアジア、東京へ。この芸術祭を通して多様な価値観に出会うことはもちろん、そうした作品を生み出す世界へのまなざし自体が、日常とは異なる遠近を持って感じられた瞬間があったなら幸いです。

東京芸術祭2019 コラム編集担当

コンドルズ× 豊島区民 『Bridges to Babylonブリッジズ・トゥ・バビロン 』

近藤良平率いるダンスカンパニー コンドルズが、総勢180名の公募出演者によるオープニングアクトも加えた新作ダンス公演で登場します。
「祝祭」をテーマに音楽と映像を駆使して、エネルギッシュで躍動感あふれるダンスはもちろん、子どもからおとなまで、誰もが一緒になって楽しめる”遊び”もふんだんに盛り込んだ、とびきり楽しいステージです。圧巻のダンスシーン、熱い芸術の秋に、どうぞご期待ください!

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