東京芸術祭とは

東京の多彩で奥深い芸術文化を通して世界とつながることを目指し、毎年秋に東京・豊島区池袋エリアを中心に開催している都市型総合芸術祭です。東京の芸術文化の魅力を分かり易く見せると同時に東京における芸術文化の創造力を高めることを目指しています。中長期的には社会課題の解決や人づくり、都市づくり、そしてグローバル化への対応を視野にいれて取り組んでいます。

世界を反転させて陽気になる方法

明日は今日より良くなる、と思っている人が、減ってしまった気がします。
日本という国のイメージが、たとえば「全体として古くなった服」のような感じで、どこかの穴を修繕すればV字回復する、とは思えない。ホツれを直そうとすると別のところが薄くなって穴があく。そういう感じかもしれません。もしそうなら、最上の策はみんなで我慢すること、となりそうですが、明日が今日より良くなると思えずに我慢していても何も生まれないんじゃないかと心配になります。

そこで提案したいのですが、今の日本をいっそ「落ち目の国」と定義してしまうのはどうでしょう。そんなことしたら一層元気がなくなるぞというご意見もあるかと思いますが、でも「落ち目」を経験した国って、歴史上にいくつもありますよね。日本以外にも色々な前例があると知れば、心に余裕ができるのではと思うのです。
心に余裕ができる。ここからいきなり結論に飛びますが、落ち目から復活できた国はどんな国かと見てゆくと、それは「人間は楽しむために生きていいんだ」という考えが堂々と認められている国だ、ということに気づきます。たしかに、生きていて楽しい、と思える国は滅びないですよね。この楽しみを次世代にも、と人々が思うから。みんなで我慢する、の真逆の策です。

で、人間が人生を楽しむために発明した“人類の知恵”が、「お祭り」です。誰でも参加できるお祭り。
そしてお祭りのないところにお祭りを作るのは、いまや行政の仕事だと言っていいでしょう。今の日本の状況を根底から変えるには、国民が国に対して「人生を楽しませろ!」と堂々と要求していいはずです。

そしてまたいきなりですが。
今年の秋、東京は、ちょっと頑張って、東京芸術祭をやります。

東京芸術祭総合ディレクター
宮城 聰

©Ryota Atarashi

宮城聰(みやぎ・さとし)

演出家。SPAC-静岡県舞台芸術センター芸術総監督。静岡県コンベンションアーツセンターグランシップ館⻑。東京芸術祭総合ディレクター。東京大学で小田島雄志・渡辺守章・日高八郎各師から演劇論を学び、1990年ク・ナウカ旗揚げ。国際的な公演活動を展開し、同時代的テキスト解釈とアジア演劇の身体技法や様式性を融合させた演出で国内外から高い評価を得る。2007年4月SPAC芸術総監督に就任。自作の上演と並行して世界各地から現代社会を鋭く切り取った作品を次々と招聘、またアウトリーチにも力を注ぎ「世界を見る窓」としての劇場運営をおこなっている。2017年『アンティゴネ』をフランス・アヴィニョン演劇祭のオープニング作品として法王庁中庭で上演、アジアの演劇がオープニングに選ばれたのは同演劇祭史上初めてのことであり、その作品世界は大きな反響を呼んだ。他の代表作に『王女メデイア』『マハーバーラタ』『ペール・ギュント』など。近年はオペラの演出も手がけ、2022年6月フランス・エクサンプロヴァンス音楽祭にて『イドメネオ』、同年12月にはドイツ・ベルリン国立歌劇場における初の日本人演出家として『ポントの王ミトリダーテ』を演出。2004年第3回朝日舞台芸術賞受賞。2005年第2回アサヒビール芸術賞受賞。2018年平成29年度第68回芸術選奨文部科学大臣賞受賞。2019年4月フランス芸術文化勲章シュヴァリエを受章。

東京芸術祭 2023 開催概要

会期

2023(令和5)年9月1日(金)〜10月29日(日)

会場

東京芸術劇場、ロサ会館、メトロポリタンプラザビル自由通路、東京都豊島区池袋エリアほか

主催

東京芸術祭実⾏委員会[公益財団法⼈東京都歴史⽂化財団(東京芸術劇場・アーツカウンシル東京)、東京都]

協賛

アサヒグループジャパン株式会社

協力

豊島区、西武鉄道株式会社、東武鉄道株式会社、池袋西口商店街連合会、co-ba ikebukuro、NPO法人ゼファー池袋まちづくり、NPO法人テラコヤ、立教大学、合同会社ルネサンス・ジャパン

東京芸術祭実行委員会

[顧問]
野村 萬:(公社)日本芸能実演家団体協議会会長、能楽師
福地茂雄:新国立劇場運営財団 顧問、(公社)企業メセナ協議会 顧問、アサヒグループホールディングス株式会社 社友

[委員長]
近藤誠一:元文化庁長官

[副委員長]
荻田伍:公益財団法人東京都歴史文化財団 東京芸術劇場 館長
蜂谷典子:東京都生活文化スポーツ局文化振興部長

[委員]
﨑田淳也:アサヒグループジャパン株式会社コーポレートコミュニケーション戦略部シニアマネジャー
夏坂真澄:(公社)企業メセナ協議会 理事長
工藤穣治:公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京企画部長
熊倉純子:東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科 教授
永井多惠子:(公社)国際演劇協会 会長
七海友信:日本放送協会メディア総局第3制作センター<音楽・伝統芸能>チーフディレクター
渡邊裕之:東京商工会議所豊島支部 会長

[監事]
山内真理:公認会計士山内真理事務所

[総合ディレクター]
宮城聰

[プログラムディレクター]
河合千佳 多田淳之介 内藤美奈子 長島確

[リサーチディレクター]
横山義志

東京芸術祭実行委員会事務局

[事務局長]
鈴木順子

[事務局次長]
阿部耕治
湯川説子

[アソシエイト・ディレクター]
根本晴美

[総務]
村岡宏太
浜田夏実
清水幸代
大島尚子

[経理]
石鍋由紀子、谷田八千代(アスタービジョン株式会社)

[事務担当(劇場調整)]
半澤裕彦

[広報]
奥村圭二郎
船寄洋之
村上愛佳
植松侑子、ユカワユウコ、中村桃子、河村美帆香、水戸亜祐美(合同会社syuz’gen)
宮本 緑
今井さつき

[SNS運営]
佐野圭介、渥美資史、玉田 陸、中坂優一(ツナガル株式会社)

[票券担当]
山内祥子

[東京芸術劇場事務調整担当]
小沼知子

[メインビジュアル アートディレクション]
村上雅士(emuni)

[タブロイド・ステッカーデザイン]
藤木敦子

[ウェブサイト設計・デザイン]
入江拓也、井上 亮、長澤信太(SETENV)

[翻訳]
オフィス宮崎

[法務アドバイザー]
福井健策、北澤尚登、岡本健太郎(骨董通り法律事務所)