2017.03.30
「東京芸術祭」総合ディレクター(2018年~2020年) 宮城聰氏就任のお知らせ
「東京芸術祭」は、東京に世界から人が集まり、東京の活力を高めることを目指し、2016年から池袋を中心に舞台芸術祭としてスタートいたしました。
このたび2018年から2020年までの東京芸術祭総合ディレクターに宮城聰氏が就任しました。
(撮影:新良太)
宮城聰氏より
ここ2、3年の世界の状況が、1930年代と似ていると感じざるを得なくなってきた。いわゆる「分断」、社会の“裂け目”が露呈するようになり、世の中の過半のひとが、何か「割りを食っている」という疎外感を覚えているように思う。そして同時に「どこかに得をしている連中が居るはずだ」と、憎悪の対象を探している。これは1930年代のドイツの状況に似ている。そして当時のドイツでは、意外にも公立劇場が「得をしている連中=既得権の側」にいると見なされていたのだが、現在の東京の演劇界も、それと同じような状況なのではないかと危惧している。
「分断」の中身は、しばらく前までは、豊かな国と貧しい国、搾取している国とされている国、経済植民地にしている国とされている国、という南北問題に帰趨される対立であったが、最近ではひとつの国の中、比較的先進国と言われていた国の中に分断がある。
そんな現代の東京でどのような芸術祭が成り立つのか。どういう役割を果たせるのか。これまでと違うアプローチが必要だろう。そのためには「国内」「国際」「地域」の面から考え、光を当てていきたい。
1つ目は、囲いがなく外からも覗くことができるところで超一流のクオリティをもった作品を上演し、人が集まる場をつくること。2つ目は、かつてのパリやニューヨークのようにアジアの若い人たちが東京に行ってみたいと思うような発信をすること。そして3つ目は、東京と地域の連携を考えるということ。2020年の東京オリンピックが東京の一極集中を加速させることにならないよう、芸術ができることを考えていきたい。
(2017(平成29)年3月29日)
詳細は下記プレスリリース(PDF)をご覧ください。