東京芸術祭 2018

『野外劇 三文オペラ』

[作]ベルトルト・ブレヒト [音楽]クルト・ヴァイル [訳]大岡淳
[演出]ジョルジオ・バルベリオ・コルセッティ
[音楽監督]原田敬子 [衣裳デザイン]澤田石和寛
[総合ディレクター]宮城聰
[直轄事業ディレクター]横山義志

『野外劇 三文オペラ』

 
金融恐慌とナチス台頭の時代に一世を風靡した痛快風刺音楽劇が池袋西口公園に登場!
ロンドンの盗賊団の親玉メッキーは乞食商会社長の娘ポリーと馬小屋で結婚式を挙げ、追っ手を逃れてポリーに後を託すが …。

 

 東京芸術祭2018では、直轄プログラムとしてイタリアを代表する演出家ジョルジオ・バルベリオ・コルセッティによる『野外劇 三文オペラ』を池袋西口公園にて上演いたします。この公演にあたっては、2017年12月にコルセッティ氏が250名を対象に7日間に渡ってオーディションを行い、全キャストを自分自身の目で見て選出しました。選びぬかれた15人の出演者とともにおくる池袋西口公園での『野外劇 三文オペラ』、チケット代はなんと破格のワンコイン。野外での公演のため、客席以外のエリアからは無料でこの上演を眺めることも可能です。これまで演劇を見たことがない人、劇場に足を運んだことがない人も、池袋西口公園というひらかれた空間でこの演劇作品と偶然出会うことになります。まさに"ひらく"プログラムとして、みなさまにお楽しみいただけたらと思います。
 池袋のビルの谷間でネオンを借景に繰り広げられる、痛快風刺音楽劇『野外劇 三文オペラ』をお見逃しなく!


 

〔 東京芸術祭 総合ディレクター 宮城聰より 〕

 

 いまの東京には、「劇場に行く楽しみを知っている人」と「それを一切知らない人」の2種類の人々がいます。
 人数から見ると、前者は後者よりずっと少数です。もちろん、劇場にはキャパシティの限界がありますから、電波やネットのようにいちどに数万もの人が見ることはできません。なので少数であること自体は当然で、劇場に来ない人たちも「劇場という場所ではなにか面白いことが起こっているらしい」という興味を持ってくれている状態ならばそれは心配に及ばないでしょう。
 しかしいまの東京では、前者の人々と後者の人々のあいだに深い溝ができています。ふたつのグループはくっきりと分かれてしまって、前者のメンバーは固定化しつつあります。
 こういう状況で劇場にたくさんの観客を呼ぼうとすれば、テレビの人気者に出演してもらうしかなくなります。人気者たちはさすがの名演を見せてくれることもありますが、チケット代は高くなります。高くなっても売れることがわかると、もう安くはならないものですよね。こうして前者と後者の溝はいっそう深くなるばかりです。 
 そこで東京芸術祭2018では、このスパイラルに抗う一撃を企画しました。それがこの『野外劇三文オペラ』です。
 まず、劇場を飛び出し、池袋西口公園で、囲いさえ作らずに上演します。チケット代は「三文」、というわけにはいきませんが、ワンコインにします。遠巻きに眺めるぶんにはタダです。そういう方々に音だけでも楽しんでもらえるよう、音楽劇を選びました。途中から観ても良いし、途中で立ち去ってもかまいません。
 ただし、クオリティは一流でなければ意味がありません。「敷居が下がったぶん、クオリティも下がった」となっては、演劇とは面白くないもの、という先入観を拡げる役にしか立ちません。
 演出家は、手練れ中の手練れ、G・B・コルセッティ氏を招くことにしました。氏が日本人俳優を演出するのは初めてです。出演者は全員、ネームバリューや人脈を顧慮しない、実力本位のオーディションでコルセッティ氏本人が選びます。稽古期間もじゅうにぶんに確保して、熟達の演出家が思うさま腕をふるった芝居がいかに楽しいものかを存分に味わっていただけるようにと考えております。
 ぜひ、東京芸術祭2018『野外劇三文オペラ』にご注目ください。

 


 

プログラム詳細

  • 会場
    池袋西口公園
  • 日程

    10/18(木) 19:00
    10/19(金) 19:00
    10/20(土) 19:00
    10/21(日) 19:00
    10/22(月) 19:00
    10/23(火) 休演日
    10/24(水) 19:00
    10/25(木) 19:00
    10/26(金) 19:00
    10/27(土) 19:00
    10/28(日) 19:00

  • 上演時間

    120分 ※予定

  • 上演言語

    日本語

  • ジャンル
    東京芸術祭直轄プログラム, 演劇, 野外劇, 音楽, 無料で楽しめる

チケット

  • 自由席 (整理番号付)
    500円


無料観覧エリアあり
各回開演15分前(18:45予定)に、無料観覧エリア(占有エリアの「内側」)を開放いたします。
無料観覧エリアに関する詳細は、こちら(諸注意ございますので無料観覧エリアご利用の方は必ずご一読ください)。
小雨決行天候等による上演の可否は当日16時半頃、公式WEBサイト及びSNSでお知らせ致します。

※0歳から入場可能
※ひざ上鑑賞可能
※車いすで観劇をご希望の方は東京芸術劇場ボックスオフィス(TEL:0570-010-296 [10:00~19:00、休館日を除く] )までお問合せ下さい
※チケットは1人2枚まで


▼チケット取扱い・予約受付 【東京芸術劇場ボックスオフィス】
・電話 0570-010-296(休館日を除く10:00〜19:00) ※一部携帯電話、PHS、IP電話からは、ご利用いただけません。
・窓口 営業時間10:00〜19:00 (休館日を除く)
・WEB 東京芸術祭2018 チケット特設サイト ※24時間受付(メンテナンスの時間を除く)

主なアーティスト

  • ベルトルト・ブレヒト
  • 音楽
    クルト・ヴァイル
  • 翻訳
    大岡淳
  • 演出
    ジョルジオ・バルベリオ・コルセッティ
  • 音楽監督
    原田敬子
  • 衣裳デザイン
    澤田石和寛
  • 出演
    ジョナサン・ジェレマイア・ピーチャム:廣川 三憲(ナイロン100℃)
    フィルチ/イード:泉 陽二
    シーリア・ピーチャム:森山 冬子
    ジャラ銭のマサイアス:宮下 泰幸
    マックヒース:後藤 英樹
    ポリー・ピーチャム:淺場 万矢(柿喰う客)
    曲がり指のジェーコブ:小長谷 勝彦
    のこぎりのロバート/警官:綾田 將一
    ジミー/スミス:沼田 星麻(アマヤドリ)
    しなしなのウォルター/警官:菊沢 将憲
    ブラウン:柳内 佑介
    酒場のジェニー/娼婦:榊原 有美
    酒場のジェニー/娼婦:葛 たか喜代
    酒場のジェニー/娼婦:篠原 和美
    ルーシー:水口 早香( (株)CRG)
    (登場順)
  • 演奏
    廻由美子(ピアノ)、シュテファン・フッソング(アコーディオン)、阿部大樹(電子ピアノ)

アーティストプロフィール

ジョルジオ・バルベリオ・コルセッティ

 現代イタリア演劇を代表する演出家の一人。1951年ローマ生まれ。1976年にベネチア・ビエンナーレで映像を交えた新たな劇言語を提示し、話題を呼ぶ。1988年からカフカ四部作を上演し、『アメリカ』では毎日異なる道を歩く俳優たちのあとを観客が追っていく形式を試みる。1994年、「ヨーロッパ演劇の新たなリアリティ」賞受賞。1999年、ベネチア・ビエンナーレ演劇部門の芸術監督に就任し、サーカス作品にも門戸を開く。2001年、カフカにちなんで自らの劇団を「ファットーレ・K」と名づける。2012年コメディ=フランセーズで初演出。2014年、アヴィニョン演劇祭開幕演目として法王庁中庭で『ホンブルクの公子』を演出。オペラ演出も数多く手がけ、ミラノ・スカラ座では『トゥーランドット』等を演出。

 日本では、ラフォーレミュージアム赤坂にて、1991年『ラ・カメラ・アストラッタ/抽象の部屋』、1992年『ある戦いの描写 カフカの作品より』を上演。また、SCOTサマー・シーズン2008にて『ロナルド・マクドナルドの物語』、SCOTサマー・シーズン2009にて『天と地のはざまで』を上演したほか、2016年には東京文化会館で上演されたゲルギエフ指揮によるマリインスキー・オペラ『ドン・カルロ』を演出。

 

総合ディレクター:宮城聰
直轄事業ディレクター:横山義志

 

〈東京芸術祭直轄プログラム〉
主催:東京芸術劇場・アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)
共催:合同会社syuz'gen

 

  

 

 


平成30年度 文化庁 国際文化芸術発信拠点形成事業
(豊島区国際アート・カルチャー都市推進事業) 

 

Photo: Kazuomi FURUYA